WJSN『Dream Come True』は、このところの起き抜けヘビロテ曲だ。
 

少しELO寄せの拡がりある華麗な曲調に、ガールグループらしいセンチメンタルなマイナー調を忍び込ませて、pink & blueなスプリングソングに仕立ててあるのがいい。この季節ならではの物憂さが、じわじわと内側から削がれて身軽になる感じがする。
 

この曲調ならそれこそジェフ・リン的(即ちフィル・スペクター的)に寄せた音の壁風に作りこみたいところだが、隠し味にストリングスを鳴らしてリスペクトを表明するに留めているのが、イマドキのK-POP らしくスマートだ。WJSNで唯一苦手だったヨンジョンの歌姫自我バリバリなハイトーンも、ここでは逆にメリハリを感じさせる。これもアレンジメントの妙か。まことにグッジョブだと思う。

 

作曲クレジットはFull8loom(フルブルーム)所属の영광의얼굴들、진리、Jake Kの三人連名。Full8loomはスマッシュヒット『I Wish』を手掛けたチームであり、WJSN的には原点回帰の目論見もあるのだろう。


 

『I Wish』『Secret』と順調にリリカルなポップ路線でシェアをじわじわ伸ばしていたWJSNだが、昨年、1stアルバム『HAPPY MOMENT』の活動曲として、Twiceの一連のヒット曲を手がけたBlack Eyed Pilseung作の『Happy』をリリース。確かにハジけた面白い曲だったが、WJSNみたいな統制の効いたカル舞踊でカッチリ見せられると逆にモタれる。それこそTwiceのようにあっさりダンスで機嫌よさを前に出すか、MOMOLANDぐらいのとっちらかった感じの方が合っていたのかもしれない。

 
 

同じアルバム収録曲でも、二曲目の『Miracle』はフィリー・ソウルを取り込んだ従来路線の延長線上にある曲で、ファンの評価はこちらの方が高かったように思う。今回、Full8loomを再起用したのは、フラフラとTwice寄せを目論んでコケてしまった去年の低迷を踏まえた軌道修正なのだろう。
 

同年デビューのMOMOLANDが『BBoom BBoom』の大ヒットで歌番組六連覇という大ブレイクを果たしているだけに、今後どう巻き返すか。13人編成の大所帯ながら、仕掛けの多いダンスと同期精度の高さではGGトップクラスの完成度を誇るグループなので、中堅の“その他大勢枠”で終わるのは惜しい気がする。奮起を期待したい。